2026.08.27
2026年、台湾の「話題」は、どこで生まれているのか
台湾向けにSNSを続けていて、フォロワーも少しずつ増えているのに、現地で話題になっている手応えがない——台湾市場のご相談では、この形の悩みをくり返し聞いてきました。
原因が投稿の量や写真の質にあることは、実はそれほど多くありません。
話題が生まれている場所と、企業が投稿している場所が、ずれているだけです。
人口2,310万の島が、世界のThreadsを動かしている
台湾のSNS利用者は1,810万人で、人口の78.4%にあたります。そのなかでのThreadsの位置づけが、この2年で大きく変わりました。
| プラットフォーム | 台湾の利用者数(2025年末) |
|---|---|
| 1,730万人 | |
| 1,220万人 | |
| Threads | 665万人 |
(DataReportal「Digital 2026: Taiwan」/数値はMeta広告ツール 2025年末時点)
利用者数だけを見れば、Threadsは3番手です。ところが世界の使われ方に目を移すと順位は逆転していて、2025年10月時点でThreads全体のトラフィックのうち21.83%を台湾が占め、国・地域別で1位となりました。
(Similarweb調査、2025年10月/台湾各紙報道)
世界のThreadsの5分の1を、人口2,310万人の島が動かしています。
台湾ではThreadsを、中国語の発音から「脆(ツイ)」と呼びます。愛称がつくほど日常に入り込んでいるということです。
日本企業が見落としがちなのは、ここです
Threadsが台湾で伸びた理由は、機能そのものよりも使われ方の違いにあります。
Instagramでは写真や動画の完成度が問われ、企業が時間をかけて用意したものをユーザーが受け取って眺めるという構図になりますが、これは日本企業が最も慣れている形でもあります。
一方のThreadsでは会話のほうが先に立ち、「今日こんなことがあった」「このお店どうだった?」「日本旅行でここに行きたい」といった、友人との立ち話に近い投稿が並びます。

台北市内のカフェ。Threadsで起きているのは「見せる」より「話す」に近い。
- Instagram 企業 → ユーザー (見せる)
- Threads ユーザー ⇄ ユーザー ⇄ 企業 (話す)
Instagramは「見せる」場所、Threadsは「話す」場所です。
この差は、拡散のされ方そのものを変えます。Threadsではフォロワーが多くなくても共感や返信が集まれば投稿は広がっていき、しかもその発見が「企業の投稿」ではなく「他人の会話」から起きるため、日本のアカウント運用の感覚をそのまま持ち込むと、投稿数は増えても会話が生まれにくくなります。
なお台湾のThreads利用者の男女比は女性49.6%、男性48.9%で、どちらかに偏ったプラットフォームではありません。
「うまく見せる」から「話される」へ
同じ商品でも、Threadsでは書き方が変わります。
| 項目 | 話題にならない書き方 | 話題になる書き方 |
|---|---|---|
| 商品紹介 | 新商品が登場しました | 3つ試して、これだけ買い直しました |
| 問いかけ | ぜひお試しください | みなさんならどちらを選びますか |
| 体験 | ご好評をいただいております | 使った人が、ここが意外だったと言っていました |
| KOL選定 | フォロワー数で選ぶ | コメント欄が実際に動く人で選ぶ |
| 評価指標 | いいね数 | 返信数・引用数 |
Threadsは、売る場所ではありません。 投稿をきっかけに商品名や店名を検索し、Instagramや公式サイトで確認する——台湾ではこの流れが生まれることがあります。Threadsは、知ってもらい、話題が生まれる入口として機能します。
以下のうち二つ以上に当てはまる場合は、台湾でのコミュニケーションを一度見直すことをおすすめします。
- 台湾向けアカウントのフォロワーは増えたが、コメントがほとんどつかない
- 日本語の投稿を、そのまま繁体字に翻訳している
- KOLをフォロワー数で選んでいる
- InstagramとThreadsに同じ内容を投稿している
- 台湾での評価指標が、いいね数のままである
- 投稿から自社サイトや店舗を調べる動きが見えない
- 台湾のユーザーが普段使う言い回しを把握していない
私たちが現場で見ているもの
日本で響く伝え方と台湾で話題になる伝え方が同じではないというのは、翻訳の精度の問題ではなく、その場所で人がどう振る舞っているかという問題です。同じ文章をそのまま繁体字にしても、会話の輪には入れません。
台湾で話題になるのは、企業が語ったときではありません。
誰かが誰かに、話したくなったときです。
うまく紹介することではなく、話される理由をつくること。私たちが台湾市場で取り組んでいるのは、そちらです。